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ダイヤモンドとモアッサナイト、キュービックジルコニアの見分け方。輝きの違いを数字で比べ、家でできる確かめ方をまとめました

形見の指輪やフリマで見つけたネックレスの石が、本物のダイヤモンドなのか気になることがあります。透明でキラキラ光る石は、ダイヤモンドのほかにもいくつかあり、並べて見ても見分けはつきません。

ダイヤモンドに似せた石としてよく出回っているのは、キュービックジルコニア(CZ)、モアッサナイト、ガラスです。見た目は似ていても、光の曲げ方や重さは石ごとに決まっていて、そこに違いが出ます。この記事では、宝石の研究機関である GIA の論文の数値で 4 つの石を比べ、家でできる確かめ方と、できないことを書きます。

4 つの石は何が違うのか

最初に、4 つの石の性質を並べます。ダイヤモンド、モアッサナイト、CZ は GIA の論文の表から、ガラスはほかの資料から取った値です12。

石屈折率分散比重モース硬度光の分かれ方
ダイヤモンド2.4170.0443.5210単屈折
モアッサナイト(合成)2.648 と 2.6910.1043.229¼複屈折
キュービックジルコニア2.150〜2.1800.058〜0.0665.56〜6.008〜8½単屈折
ガラス(鉛ガラス)約 1.5〜1.80.020 より大きい2.4〜4.26 未満単屈折

表の言葉は、それぞれ次のものを表しています。

  • 屈折率:石に入った光がどれだけ曲がるかです。大きいほど光が石の中に閉じ込められ、白く強く光ります
  • 分散:光の色ごとの曲がり方の差です。大きいほど光が虹色に分かれ、石の中に色の点が散って見えます。宝石の世界では、この虹色をファイアと呼びます
  • 比重:同じ体積の水と比べた重さです。同じ大きさに切った石でも、比重が大きいほど重くなります
  • 複屈折:石に入った光が 2 本に分かれる性質です。モアッサナイトだけがこの性質を持ち、屈折率が 2 つ書いてあるのはそのためです

CZ の値に幅があるのは、作るときに混ぜる成分によって性質が少し変わるためです。ガラスは、ふつうの窓ガラスの屈折率が 1.5 ほどで、鉛を加えると 1.7〜1.8 まで上がります2。

白い輝きの差は屈折率で決まる

ダイヤモンドが白く強く光るのは、上から入った光が石の底で外へ抜けず、はね返って上へ戻ってくるからです。光が石の中から外へ出ようとするとき、面に当たる角度が浅いと、外へ出られずに全部はね返ります(全反射)。全反射が起きるかどうかの境目の角度(臨界角)は、屈折率が大きいほど小さくなり、そのぶん多くの光が石の中に閉じ込められます。

4 つの石の臨界角を、表の屈折率から計算すると次のようになります3。

石臨界角
モアッサナイト22.2°
ダイヤモンド24.4°
キュービックジルコニア27.3〜27.7°
ガラス38.7°(屈折率 1.6 のとき)

ガラスの臨界角は、ダイヤモンドより 14° も大きくなります。ダイヤモンドと同じ形にカットしても、底に当たった光の多くが全反射せずに下へ抜けるので、真ん中が暗く、向こう側が透けて見えます。CZ はダイヤモンドに近い値ですが、それでも少しだけ光が抜けやすくなります。モアッサナイトは逆に、ダイヤモンドより光を閉じ込めやすい石です。

ただし、輝きはカットの角度でも大きく変わります。臨界角の差が見た目に出るのは、同じ比率でカットした石どうしを比べたときです。

虹色の多さは分散で決まる

分散の値を比べると、モアッサナイトの 0.104 はダイヤモンドの 0.044 の約 2.4 倍、CZ の 0.058〜0.066 は約 1.3〜1.5 倍です。そのため、モアッサナイトと CZ は、ダイヤモンドより虹色の光が強く出ます。

GIA の論文の表には、石の底の面(パビリオン)にちらつく色も書かれています1。ダイヤモンドは「いくつかの面にオレンジと青」、CZ は「パビリオンのほとんどにオレンジ」です。虹色がやけに派手な石は、ダイヤモンド以外を疑う手がかりになります。

とはいえ、虹色の見え方は照明で大きく変わります。スポットライトの下ではダイヤモンドも派手に光るので、この見方だけで決めることはできません。

家でできる確かめ方

ここからは、専門の機械を使わずにできる方法を、石ごとに書きます。どれも「ダイヤモンドではない」ことは分かっても、「ダイヤモンドである」ことまでは確かめられない点に注意してください。

モアッサナイトは、ルーペで稜線が二重に見える

モアッサナイトは複屈折があるので、石を通して見た奥の面の境目(稜線)が二重にずれて見えます1。10 倍のルーペがあれば、家でも見られます。ダイヤモンドは単屈折なので、どの向きから見ても稜線は 1 本です。

ここで、真上からのぞいても二重には見えないことがあります。GIA が調べたモアッサナイトは、すべて、光が分かれない向き(光軸)が上の平らな面(テーブル)と直角になるようにカットされていました。真上から見ると光軸にそって見ることになり、稜線がずれません。論文では、テーブルの周りの斜めの面(クラウン)から斜めにのぞくと、奥の稜線の二重がはっきり見えたと書かれています。

キュービックジルコニアは、同じ大きさでずっと重い

CZ の比重は 5.56〜6.00 で、ダイヤモンドの 3.52 の 1.6〜1.7 倍です。直径 6.5mm のラウンドブリリアントカットのダイヤモンドは約 1.00 カラットになり、同じ直径と同じ比率のモアッサナイトは約 0.91 カラットになります1。同じ形の CZ を比重から計算すると、約 1.6〜1.7 カラットです4。

GIA の論文も、CZ がダイヤモンドの代わりとして劣る点に比重の高さを挙げています。ただ、手に持って重さの差を感じ取るのは難しく、確かめるには枠から外した石と、0.01 カラットまで量れるはかりと、石の直径を測る道具が要ります。指輪に留まったままの石では、この方法は使えません。

ガラスは、文字が透けて見える

枠から外したラウンドブリリアントカットの石なら、テーブルを下にして新聞の文字の上に置く方法があります。ガラスは臨界角が大きく、底から光が抜けるので、石を通して下の文字が読めることがあります。ダイヤモンドは光が上へ戻るので、文字はほとんど読めません。

この方法は、カットの比率や石の大きさで結果が変わります。文字が読めなくても、ガラスでないとまでは言えません。

当てにならない確かめ方

ネットでよく紹介される方法の中には、モアッサナイトを見分けられないものがあります。

息を吹きかける方法と、熱で調べるダイヤテスター

息を吹きかけてくもりがすぐ消えればダイヤモンド、という方法があります。これは、ダイヤモンドが熱をよく伝え、くもりがすぐに温められて消えることを利用しています。

しかし、モアッサナイトも熱の伝わり方がダイヤモンドにとても近い石です。GIA の論文では、当時市販されていた熱を測るダイヤテスターに通すと、調べたモアッサナイトがすべて「ダイヤモンド」と判定されました1。専用の機械でも見分けられないので、くもりの消え方で見分けることもできません。

モアッサナイトを見分けるテスターには、電気が流れるかを調べるものがあります。モアッサナイトには電気を通すものがあり、ふつうの無色のダイヤモンドは電気を通さないためです。ただ、GIA の論文で調べたモアッサナイトのうち電気を通したのは 23 個中 13 個で、灰色や青いダイヤモンドには電気を通すものもあります。論文は、電気を通すかどうかは手がかりにはなるが、それだけで決めてはいけないとしています。

ガラスを引っかく方法

ダイヤモンドはいちばん硬いので、ガラスに傷が付けばダイヤモンド、という方法もあります。しかし、ガラスのモース硬度は 6 未満で、モアッサナイト(9¼)も CZ(8〜8½)もガラスより硬く、どれでもガラスに傷が付きます。見分けられないうえに、石の角が欠けるおそれもあるので、試す意味はありません。

合成ダイヤモンドは家では見分けられない

ここまでの方法は、どれもダイヤモンドと別の物質を見分けるものです。工場で作られたダイヤモンド(合成ダイヤモンド、ラボグロウンダイヤモンド)は、物質としてダイヤモンドそのものなので、どの方法でも「ダイヤモンド」と出ます。

GIA は、合成ダイヤモンドの化学的な性質と物理的な性質は天然のダイヤモンドに非常に近く、CZ やモアッサナイトのような類似石と呼ぶのは正しくないとしています5。見分けるには、育ったときの条件が残した特徴を調べる必要があり、場合によっては高度な科学機器が要ります。

天然か合成かまで確かめたいときは、鑑別機関に出して鑑別書を取るのが確実です。石の種類と天然か合成かを書くのが鑑別書で、ダイヤモンドの品質(4C)を評価する鑑定書(グレーディングレポート)とは別のものです。

ゲームの中で 4 つの石を比べる

私が作っている宝石キラキラ工房は、原石を選んでカットし、ジュエリーに仕立ててながめるブラウザゲームです。原石は毎回ランダムに並び、ダイヤモンドのほかに CZ、モアッサナイト、ガラスも混ざります。原石を選ぶと、その石の屈折率、分散、比重の値も出ます。

石の見た目は、石ごとの屈折率と分散をもとに、石の中で光がはね返る様子を計算して描いています(分散は見やすいように少し強めにしていて、モアッサナイトは 2 つの屈折率で光を追っています)。同じ形にカットして見比べると、ガラスの真ん中が暗く透けることや、モアッサナイトの虹色の強さを見比べられます。実物の石とは照明も描き方も違うので、本物を見分ける練習にはなりませんが、数字の違いがどう見た目に出るかは分かります。

  1. Nassau ほか「Synthetic Moissanite: A New Diamond Substitute」Gems & Gemology 33 巻 4 号、1997 年、260〜275 ページ。GIA の掲載ページ。表の値は論文の表 1 から取りました。屈折率や比重は物質で決まる値なので、古い論文でも変わりません。論文が調べたモアッサナイトは 1997 年当時の製品で、色や研磨の仕上がりは今の製品と違う可能性があります。 ↩
  2. ガラスはダイヤモンドの代わりにする石の中で成分の幅がいちばん広く、値も幅を持たせています。屈折率は Wikipedia の「Lead glass」、分散と比重とモース硬度は「Diamond simulant」の表の flint glass の行から取りました。 ↩
  3. 臨界角は、石の屈折率を n として arcsin(1 / n) で求めました。空気の屈折率は 1 としています。モアッサナイトは小さいほうの 2.648 で、CZ は 2.150 と 2.180 の両方で計算しています。数字の調べものと計算は Claude Code に手伝ってもらいました。 ↩
  4. 同じ形と大きさなら、重さは比重に比例します。ダイヤモンドの 1.00 カラットに、CZ とダイヤモンドの比重の比(5.56 / 3.52 = 1.58、6.00 / 3.52 = 1.70)を掛けました。 ↩
  5. GIA「HPHT法およびCVD法によるダイヤモンドの成長プロセス:ラボラトリー グロウン ダイヤモンドの製造」2016 年。 ↩

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