作業用や睡眠用の音を探していると、ホワイトノイズ、ピンクノイズ、ブラウンノイズという名前が並んでいます。どれも「サー」や「ゴー」という雑音で、名前だけではどれを選べばいいのか分かりません。
色の名前が表しているのは、低い音と高い音をどんな割合で含んでいるかです。この記事では、私が作っているノイズダウンロードの音を実際に測った数値で違いを比べます。そのうえで、勉強や睡眠に使うときに研究で分かっていることと、目的ごとの選び方を書きます。
色の名前は何を表しているのか
ノイズは、あらゆる高さ(周波数)の音が不規則に混ざった音です。混ざり方の偏りに、光の色になぞらえた名前が付いています。
- ホワイトノイズ:どの周波数も同じ強さで含むノイズです。すべての色が混ざった白い光にたとえた名前です
- ピンクノイズ:周波数が 2 倍になるごとに、強さが半分(-3dB)になるノイズです。赤い光(低い側)に寄った白なので、ピンクと呼ばれます
- ブラウンノイズ:周波数が 2 倍になるごとに、強さが 4 分の 1(-6dB)になるノイズです。ブラウン運動(粒子の不規則な動き)と同じ作り方で生まれることから付いた名前で、茶色の意味ではありません1
ここで分かりにくいのが、ホワイトノイズの「どの周波数も同じ強さ」が、耳には「同じ強さ」に聞こえないことです。人の耳は、音の高さを比で感じます。100Hz から 200Hz への上がり方と、1,000Hz から 2,000Hz への上がり方は、どちらも同じ「1 オクターブ」に聞こえます。ところが、1 オクターブに含まれる周波数の幅は、高いオクターブほど広くなります(100Hz の幅と 1,000Hz の幅)。ホワイトノイズは幅 1Hz あたりの強さが一定なので、幅の広い高いオクターブほど、多くの音が詰まっていることになります。
実際の音を測った違い
違いを数字で見るために、ノイズダウンロードがノイズを作るのと同じコードで音を作り、オクターブごとの強さを測りました2。1,000Hz を含むオクターブを 0dB として、ほかのオクターブがそれより何 dB 強いかを並べたのが次の表です。
| ノイズ | 63Hz | 250Hz | 1,000Hz | 4,000Hz | 16,000Hz |
|---|---|---|---|---|---|
| ホワイト | -12.2 | -6.0 | 0 | +6.1 | +11.8 |
| ピンク | 0.0 | -0.1 | 0 | -0.1 | -0.2 |
| ブラウン | +11.7 | +6.1 | 0 | -5.9 | -10.2 |
ピンクノイズは、どのオクターブもほぼ 0dB です。耳がオクターブ単位で高さを感じることを考えると、ピンクノイズは「低い音から高い音まで、耳にとって同じくらいずつ鳴っている音」と言えます。
ホワイトノイズは、オクターブが 1 つ上がるごとに約 3dB ずつ強くなっています。63Hz と 16,000Hz の差は 24dB で、エネルギーにすると約 250 倍です。ホワイトノイズが「シャー」と高く、耳にきつく聞こえやすいのはこのためです。
ブラウンノイズはその逆で、オクターブが 1 つ下がるごとに約 3dB ずつ強くなります。低い音が強く、高い音がほとんど無いので、「ゴー」という、遠くの滝や飛行機の機内のような音になります。
グリーンノイズとブルーノイズ
ノイズダウンロードには、ほかにグリーンノイズとブルーノイズもあります。同じ方法で測ると、次のようになりました。
| ノイズ | 63Hz | 250Hz | 1,000Hz | 4,000Hz | 16,000Hz |
|---|---|---|---|---|---|
| グリーン | -24.6 | -5.6 | 0 | -6.8 | -11.1 |
| ブルー | -35.7 | -18.1 | 0 | +18.0 | +33.3 |
グリーンノイズには、ホワイトやピンクのような決まった定義がありません。多くの場合、中くらいの高さに山がある音を指していて、ノイズダウンロードでは 500Hz のあたりを中心にした音にしています(表では 500Hz のオクターブが +1.2dB でいちばん強く、そこから両側に下がっています)。
ブルーノイズは、高い音ほど強いノイズです。ノイズダウンロードのものは、オクターブが 1 つ上がるごとに約 9dB 強くなる、かなり高音に寄った音です3。
勉強や作業のときに効くのか
ノイズで集中しやすくなるかについては、2024 年に、注意の課題の成績を調べた研究をまとめたメタ分析が出ています4。ADHD の人や、注意の問題が大きい人では、ホワイトノイズやピンクノイズを流すと成績がわずかに上がっていました(効果量 g = 0.249)。一方、ADHD でない人のグループでは、逆に成績がわずかに下がっていました。
この結果から「ノイズを流せば誰でも集中できる」とは言えません。効果が見られたのは注意の問題がある人の、短い時間の実験課題だけで、その大きさも薬の効果より小さいものでした。集めた研究も、12 本がホワイトノイズで、ピンクノイズは 1 本だけです。ブラウンノイズを調べた研究は 1 本も見つかっていません。SNS では「ブラウンノイズで集中できる」という話をよく見かけますが、いまのところそれを確かめた研究は無いということです。
研究で効果が確かめにくい一方で、ノイズには、まわりの音を聞こえにくくする働き(マスキング)があります。ある音は、近い高さの音で隠れやすくなります。カフェの話し声やオフィスの雑談が気になって集中できないのなら、声の聞き取りに関わる中くらいから高めの音を含むホワイトノイズやピンクノイズのほうが向いています。反対に、車の走る音や上の階の足音のような低い音が気になるのなら、低い音の強いブラウンノイズが候補になります。ノイズダウンロードの説明に「声や雑音を広く隠す」(ホワイト)、「車や重低音を隠す」(ブラウン)と書いているのは、この違いからです。
眠るときに流すのは
睡眠については、結果がはっきりしていません。2021 年に、白色雑音などの途切れないノイズと睡眠の関係を調べた 38 本の研究をまとめた系統的レビューが出ています5。その結論は「ノイズで睡眠が良くなるという証拠の質は、非常に低い」というものでした。良くなったという研究と悪くなったという研究が混ざっていて、ノイズの種類や音量、睡眠の測り方も研究ごとにばらばらだったためです。
さらに 2026 年 2 月には、ピンクノイズについて気になる結果が発表されました6。睡眠の実験室で健康な大人 25 人に 7 晩眠ってもらい、航空機の騒音、ピンクノイズ、耳栓をいろいろな組み合わせで試した研究です。50dB のピンクノイズを流した夜は、夢を見る睡眠(レム睡眠)が 1 晩で約 19 分短くなっていました。航空機の騒音とピンクノイズを両方流した夜は、深い睡眠とレム睡眠の両方が減り、目が覚めている時間も約 15 分長くなりました。航空機の騒音だけの夜は深い睡眠が約 23 分減っていましたが、耳栓をするとこの減りをかなり防げていました。
ただし、これは 25 人の実験室での結果です。研究チーム自身も、長く使ったときの影響、ノイズの色による違い、安全な音量などは、さらに調べる必要があるとしています。そのうえで、レム睡眠の時間が長い乳幼児にノイズを流して寝かせることについては、特に注意を呼びかけています。
眠るときにノイズを使うなら、次のように使うのが無難だと思います。
- 音量は、気になる音が気にならなくなる、いちばん小さいところにする
- ひと晩じゅう流しっぱなしにせず、寝つくまでの長さにする
- 外の騒音が原因で眠れないのなら、耳栓も試す
ノイズダウンロードは音をファイルとして保存する作りなので、長さを 30 分や 1 時間にして書き出せば、そのまま「寝つくまで」の長さになります(1 分から 2 時間まで選べます)。
目的ごとの選び方
ここまでの話を、目的ごとにまとめます。
| 目的 | まず試すもの | 理由 |
|---|---|---|
| 話し声や雑談を聞こえにくくしたい | ホワイト、ピンク | 声に近い高さの音をしっかり含むため |
| 車の音や足音などの低い音を隠したい | ブラウン | 低い音が強いため |
| 長く流しても耳が疲れない音がほしい | ピンク、ブラウン | 高い音がホワイトより弱いため |
| 寝つくまで流したい | ピンク、ブラウン(小さい音で、短く) | 睡眠への効果ははっきりしていない |
どれが合うかは、人によって大きく違います。同じピンクノイズでも、心地よく感じる人もいれば、うるさく感じる人もいます。いくつか聞き比べて、気になる音が消えて、自分が不快に感じないものを選ぶのがいちばん確実です。
ノイズダウンロードでは、5 種類のノイズを登録なしでその場で聞き比べられます。「やわらかさ」を下げると高い音が削れるので、ホワイトノイズがきつく感じるときは、まずここを下げてみてください。ブラウンノイズは「あかるさ」で、こもり具合を変えられます。気に入った音は MP3 か WAV で保存できるので、ネットにつながらない場所でも使えます。
音の作り方そのものに興味がある人は、「ざあざあ」が1秒20粒で頭打ちだった、録音ゼロの雨音ジェネレーターに、コードと一緒に書いています。
- 英語では Brownian noise とも呼ばれ、red noise(レッドノイズ)と呼ぶこともあります。前の値に小さな乱数を足し続ける(ランダムウォーク)と、この性質の音になります。 ↩
- ノイズダウンロードの音を作る関数を Node.js で動かし、44.1kHz で 8,192 サンプルずつ 200 区間ぶん作って、FFT でオクターブごとのエネルギーを合計しました。測ったのは、「やわらかさ」のフィルターと音量の調整を通す前の音です。この測定は Claude Code に手伝ってもらいました。 ↩
- 定義どおりのブルーノイズは、オクターブごとに約 6dB(幅 1Hz あたりでは周波数が 2 倍で +3dB)強くなります。ノイズダウンロードのものは、隣り合う乱数の差を取る作り方のため、それより高音に寄っていて、厳密にはバイオレットノイズと呼ばれる性質に近い音です。 ↩
- Nigg ほか「Systematic Review and Meta-Analysis: Do White Noise or Pink Noise Help With Task Performance in Youth With Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder or With Elevated Attention Problems?」Journal of the American Academy of Child & Adolescent Psychiatry、2024 年。本文 ↩
- Riedy ほか「Noise as a sleep aid: A systematic review」Sleep Medicine Reviews、2021 年。 ↩
- Basner ほか「Efficacy of pink noise and earplugs for mitigating the effects of intermittent environmental noise exposure on sleep」Sleep、2026 年。ペンシルベニア大学の紹介記事 ↩